キリギリスはなぜ死んだ?

ニートに生きる資格を

汎用瓶詰決戦生姜 桃屋 きざみしょうがを語ろう。

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「圧倒的じゃないか。桃屋は。」

 

たった一本の小瓶に詰められた無限の可能性に出会えた有り余る幸福感。

そして、今までこのMy most favoriteおかずを知らなかった悔しさがない交ぜになり、去年、大掃除をした際、掃除をサボったせいで、若干埃っぽい天井を

仰ぎみながら、ぼくは呟いた。

 

センベイ家の食卓は(といってもぼく個人だが)は、危機にあった。

ご飯にかけるおかずがマンネリから抜け出せずにいたのである。

 

ふりかけ類も大体試したし、卵かけご飯も素晴らしいが、だいぶ飽きてきた。

納豆はネバネバしてめんどくさい。一体どうすれば・・・・

まさか、ご飯をおかずにするわけにもいかないし。

 

そう悩みながら、スーパーの調味料コーナー

で、俺たちのおかずラー油 と出会った。

 

ラー油の味を覚えてしまったら、もう、他のおかずには戻れない。

ぼくとおかずラー油の官能的な愛の日々が始まった。

ときに優しく、ときに激しく、3食欠かさずに交わるぼくとおかずラー油。

若気のいたり。と言われたらそうかもしれない。

しかし、あの瞬間の僕らは、確かに愛し合っていた。

それがどれだけ、刹那的な快楽だったとしても。

しかし、幸せな日々は、もろく、拍子抜けするほどあっけなく崩れ去った。

その日、ぼくは、いつものように、ラー油とまぐわろうした。

まだ、蓋を開けただけだというのに、瓶からは、油があふれだし、

フライドガーリックの匂いが、オスの本能をかきたてる。

ぼくは冷静にスプーンをラー油のそそぎ口に突っ込み、

激しくかき混ぜた。慌てるのはまだ早い。恍惚に浸るためには、しっかりとした

前準備がいるのだ。

ラー油とフライドガーリックが完全に混ざり合い、もはや我慢できないと、

身震いするラー油。いよいよだ。

間髪いれず、ラー油をご飯に注ぎ込み、口に運ぼうとしたその時、

「あんた、またそれ食べんの?正直、臭いんだけど」

 

なぜ、そこに・・・お母さん

ぼくらの情事に割って入った母親。忘れていた。彼女は、吸血鬼か。ってぐらい

ニンニクが大の苦手だったのだ。

そうして、愛に理解のない大人の手で、ぼくとラー油はいとも簡単に引き裂かれ

ぼくの食卓には、また、ふりかけのバラエティーセットをローテーションする日々が

戻ってきた。確かに、他のおかずたちは、どれも魅力的であった。しかし、

俺たちのおかずには遠く及ばない。

「おおおかずラー油。あなたはどうしてガーリックなの。」

この時のぼくは、「平井堅の瞳を閉じて。」を聞きながら

ラー油を失った悲しみに打ち拉がれていた。

 

朝目覚めるたびに、君の空き瓶が、不燃ゴミに詰まってる。

辛みを感じたいつもの食卓が、冷たい。

 

苦笑いをやめて、臭い納豆を、食。べ。よ。う。

使いづらいパック。ぼくと、上についてるビニールとの追いかけっこだ。

 

全てが、虚無といっていい毎日。

何度も、スーパーの同じコーナを見つめる。そこには、ラー油が何食わぬ顔で

陳列されていた。しかし、ぼくはそれを手に取る事は出来ない。

ぼくらの間を分かつ溝は、もう修復する事は出来なかった。

 

 今を生きるんだ。

ラー油を失って、はや3週間。ぼくは、ぽっかりと空いた穴を埋めるかのごとく

違うおかずをとっかえひっかえにしていた。

しかし、どのおかずもぼくを満たす事は出来ない。やはり、ラー油には程遠い。

以前はあんなに足しげく通っていた、おかず海苔ランドも、商売っ気が見え隠れして

楽しくはなかった。

 

そんなある日、未練がましく、訪れたスーパーで彼女と出会った。

桃屋 きざみしょうが 110g

桃屋 きざみしょうが 110g

 

 

一見地味な、しかし近場では絶対出会えないような、初期の北乃きいのごとき

佇まいでそこにいた。

 

半信半疑で彼女を食卓に乗せるぼく。ふたを開けても、ガーリックの匂いはしない。

しかし、この感覚は・・・どこかで・・・

しょうがとご飯をまぜ、口に運ぶ。そして・・・・

どうしてだろう。泣いていた。

 それは、私の事は忘れて、現在の幸せを生きてください。

という、ラー油からのメッセージだった。

 

 圧倒的な汎用性。

 きざみしょうがを語る上でその汎用性を外す訳にはいかないだろう。

彼女は、味噌汁、冷奴、ご飯はもちろん、チャーハンや、サラダの具、

はてはしょうが焼きまでカバー出来てしまう。

その姿はまるで、圧倒的な劣勢を覆したジオンの名機である。

ぼくがこの時期おすすめなのが、そうめんのつゆに入れる方法で、そうめんの手軽さと

相まって、はしが止まらない。最高の組み合わせである。

 

もはや中毒。

ぼくは、一週間ほどで一瓶をあけてしまう。3日ほどしょうがを摂取しないと

体に悪寒がはしり、思考がまとまらず、震えが止まらなくなるが

けっして中毒ではない。

 

とりあえず、きざみしょうががあれば、どんなものでもうまくなる。

それは間違いない。