キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

ヒースレジャー主演の隠れた名作。ROCK YOU

確かにブロークバック・マウンテン。やパトリオットなど

名作はたくさんある。でも脳機能単細胞生物の僕は

主演作でも、娯楽に振り切っているものを推したい。

 

 その狂気は演技か?それとも・・・

映画、ダークナイト

バットマンを抑えブルーレイのパッケージになるほど

世間に強烈な印象を与えた狂気の道化師、ジョーカーを演じた俳優

ヒース・レジャー。2009年のゴールデングローブ賞、アカデミー助演男優賞

同時に受賞する快挙をなした。

でも、ヒース氏自身は、映画公開前の2008年に

薬物の過剰摂取による急性薬物中毒で亡くなってしまった。

 

確かに、彼のジョーカーには、得体のしれなさとういうか

なにをしでかすかわからない恐怖。

言葉の使い方は適切でないかもしれないけど

「演技というより、本当にヤバイ奴が歩いている」ように感じた

特に彼がブルース・ウェイン(バットマン)の恋人

レイチェルを人質にするシーンは、いつ口をかき切るかと冷や汗をかいた。

下手なホラー映画より怖い。

 

ヒース氏はデビュー当時から、成功を約束されたアイドル路線を嫌い

シリアスな役をやりたかったらしい。

生きているうちに名声を手に入れられなかった彼の道が

幸せなのかは、わからない。そんなもの必要なかったか。

 

彼はこの作品で自身の人生を生ききった。のかもしれない。

彼の活躍をもっと見たかったと思うのは、外野の私欲だろう。

それでも、早すぎると悔やむのは、紛れもなく

彼は僕らを夢中にする「何か」を持っていたからだ。

元祖UKロック。

ダークナイト公開当初からヒース氏が亡くなっている事実は話題で

作品を見る前の僕には、「へぇ〜死んじゃったんだ。」程度の理解しかない。

ただ、劇中、ほぼピエロのメイクをしたまま、素顔は出てこなくて

一瞬だけ映るシーンはあるけど、口には痛々しい傷跡。

「俺を見ろ」なスタローンやシュワレツネッガーなら、撮影中に帰るであろう

扱いにもかかわらず、登場人物の誰よりも強烈に記憶に残る俳優が気になって

画像検索。

壮年の役者だと思ってたけど、表示されたのは

想像よりずっと年下の若者だった。

どこかで見た気がする。

wikipediaの経歴を追いかけて、見つけたのが、この

ロック・ユー! [Blu-ray]

ロック・ユー! [Blu-ray]

 

 であった。

 あらすじ

 中世のフランス・イングランドでは、

互いに馬を全力で走らせながら、すれ違う瞬間に

槍を相手にぶつけるチキンレース

男らしさ満載のエクストリームスポーツ。馬上槍試合が大ブーム。

主人公、ウィリアムはいつか試合に出るのを夢見ていた

しかし、競技に参加できるのは、貴族か騎士の身分のある者だけ。

貧しい屋根ふき職人の息子には不可能であった。

そんなある日、彼が従者をしていた騎士、エクスター卿が試合中に死亡して

しまう。

 

ウィリアムは、エクスター卿の装備を剥ぎ取り、試合に出場。勝利する。

自分の生きる道を見つけた彼は、従者仲間のローワン、ワットとともに

身分を偽り、騎士として栄光を掴むために旅立つのだった。

 

中世を舞台にしているけど、序盤の試合で

観客がQueenwe will Rock Youを歌い出し、馬上槍試合は現代のスポーツの

ような雰囲気で、14世紀を正確に描写しました。

というよりも、「わかりやすさ」を優先した日本の時代劇に近い。

 

ストーリーも、い◯毛頭

おしゃれパーマが小憎たらしい悪役アダマー卿。こいつとウィリアムは

同じ王女っぽい人に恋をして、取り合うのも見どころの一つだ。

鍛冶屋のお姉さんの方がかわいいけどね

 

そして、お母さんみたいな立ち位置のローワン、実験台にされるワット。

僕が好きなのは、道中、まさかのケツから登場する貧乏作家、ジェフリー。

彼は試合前のリングアナのように、観客を盛り上げるために

ウィリアムの前口上を担当する。

ち◯毛卿との決戦前の時間を稼ぐ場面の彼の演説は鳥肌者だ。

さらに、作中誰よりもイケメンなメンタリティーでチームを引っ張っていく

鍛冶屋のケイト、濃い面々との出会い、

爽やかライバル、エドワードなどの強敵と戦い、ウィリアムは成長していく。

 

他にも、劇中の甲冑の面をガチャコンする場面はすごくかっこいいし

ラストバトルの特攻はアツい。

少年ジャンプのような作風だと言えば、わかりやすいかもしれない。

 

死者への手向け

 

「すごく疲れているのに、2時間ぐらいしか眠れない」

と悩むほどに、精神をすり減らしていなかったら

映画史に革命を起こした悪役は生まれなかったかもしれない。

彼の人生は、引き際をわきまえていた。と言えばいいのだろうか。

若くして伝説になるのは、素晴らしいのか。僕にはわからない。

 

ただ、映像の中で永遠に生き続ける28歳の天才。

その次回作を待ち続けているのは、僕だけではないはずだ。