キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

人はなぜ苦しみ、何を残し死んでいくのか。

人の生きる理由はなんだろう。

ガリレオがいくら難しい方程式を書きなぐったところで

謎は解けない。ドラマみたいに「実に面白い」となればいいのに。

 

もしや答えなど存在しないのでは。

なぜ、苦しみ、日々をやりすごすのか。を知りたい。

 

考えてなんになる。哲学してる俺かっけーとでも。

自分をなじってもしょうがない。

深く思考しろ。なぜ人でなくてはならないのか。

鳥、魚、猫、犬、猿・・・・

彼らと僕の違いはなんだ。意味を見つけろ。

人が人である理由を。

まさか

意味などないのか。なら、人間とはなんだ。

生きるとは・・・・

 

下らない自分会議に取り憑かれた。

あの日から

起こるはずのない事

ブログに書くべき内容じゃない。そう思ったら、途端に更新できなくなる。

僕の存在は世間から見れば、見るに耐えない出来事でできてる。

面白い漫画は面白い人生を歩いた人にしか作れない。

ブログも同じだ。

僕にエンターティーメンは作れないとわかった。

 

このブログは僕の過去との決別だ。いくら忘れようとしても

消えない後悔。

それを切り離すために書いている。

頭の中の声を打ち込む。

もう少しだけ公開オナ◯ーに付き合ってほしい。

 

15歳の時、祖母が亡くなった。

 

五年前に転んでから、腰を悪くして、次第に寝たきりになっていった。

布団はいつの間にか、背もたれの上がるベットになり、彼女はいつの間にか

電気の力を借りなければ起き上がれない体になっていった。

夜中の2時に突然起きて、意味不明な言葉を叫ぶ。

次の日学校だった僕は勘弁してくれ。と思っていた。

介護はお母さんがやっていたので、僕は直接関わってないけど

 

トイレに自力でいけなかったせいで、周りはいつも臭い。

しかも、時々、大便を壁に投げつける。

理由はわからない。

 

まだ部屋に一台しかテレビなかった頃。

ゲームをしていたら

「おばあちゃん。綺麗にするから、他の部屋に行ってなさい。」

そう言われて移動するたびに、なんとも言えない気持ちになった。

 

正直に言おう。心の中で、さっさと死ね。と思っていた事を。

世間も恩も知らないクソガキの思考など、こんなものだ。

子供というのは、自分中心に世界は回っている。と勘違いしている。

今のうちに改めほしい。

でないと、今後とんでもない事になる。

 

死ね。と思うのは、現実に起きるなどとは思はなかったのだろう。

夢に見るものの、朝を迎えれば、幻覚だったとわかると落ち着いた。

 

朝、いつも通りに目が覚めた。高校生一年の冬休みだ。

昨日の夜更かしで、まだ寝ぼけていた。

 

台所に立っているはずの母さんの姿がない。

おばあちゃんの寝ている所で、声が聞こえる。

「お母さん起きてー。朝だよー」

いつもは「おばあちゃん」と呼んでいるのに

なぜ今日に限って・・・?

 

僕が様子を見に行くと、おばあちゃんは、眠っていた。

正確には、眠っているように見えた。

そこで気づいたけど、母さんは耳元で、ほぼ怒鳴りに近い音量を出していた。

なのに、なんの反応もなかった。

 

母さんは、救急車を呼ぶ。と言って、僕にその場に残るように伝えた。

現実は非情だ。ラノベの主人公なら、華麗に切り抜けられただろう。

 

残念ながら、高二病厨二病を半々患っためんどくさいガキにできる事はなかった。

本当に横になっているように見えた。

今にも起き出しそう。

恐る恐る体を揺する。なんの反応もない。

手を触ってみた。

幼稚園の送り迎えの時、握っていた暖かさも、柔らかさも

そこにはなかった。

 

いつも通り過ぎて行くだけのサイレンが家の前で止まった。

ノックの音で、ドアを開けると、ヘルメットをかぶり、マスクをして

青いジャンパーを着た男の人が3人やってきた。

一人はマスクの間から見えた目で、年配の人だと思う。

一人は肩から、旅行鞄のようなものを下げている。

一人はよく覚えていない。多分、紙みたいなのを持っていたような気がした。

 

年配の人が、おばあちゃんの腕に指を当てている。しっぺでもするのかと

思った。そんなギャグはしないだろう。

バカでも脈を測っている。ぐらいわかった。反応が好ましくない事も。

胸ポケットからペンライトを取り出すと、彼はお婆ちゃんの目に当てた。

眩しいとも言わなかった。そういう反応を見るためだったのだろうか。

 

両目を見終わった後、彼はお母さんに向かって言った。

 

「詳しい事はお医者様が来ないとわからないけど

  私たちにできる事は、ありません」

 

小さく、すいません。とつぶやいたような気もしたけど

母さんと何かやりとりをして、去っていった。

 

いや、それだけかよ。なんのためにきたんだ。

せめて心臓マッサージとか・・・・

 

当時の僕にはわからなかったけど、彼らも

そんなポーズをとる方が、残酷だとわかっていたのかもしれない。

 

電話したかかりつけの医者がやってきたり、警察が事情を聴きにきたりしていた

らしい。

 

らしい。というのは、その時の僕は、別の部屋にこもってしまったから。

いつも暮らしていた家が知らない大人いっぱいになる。だけでも苦痛なのに

そんな人々と顔を会わせるのは、嫌だった。

 

一通り引き上げて、少し安心できなかった。

今度は、葬式の用意をするため、坊さんに電話したり、親戚を集めなければ

ならなかったのだ。

数時間後、狭いアパートにやってきたお婆ちゃんの子供たち。

僕は別の部屋にいて、会話をしたくなかった。

うまく言えないけど、起こっていた事を認めたくなかった。

ありえない。と思いたかった。

あれだけ死を願っていたのに。随分わがままな人間だと

自分でも引いている。

 

葬式というものに参加して驚いたのは、お寿司が出る事。

なんでこんな時に食べるのだろう。

未だにわからない。

 

 坊さんがお経を唱えている間、ずっと泣いていた。

ポーズと言われてもかまわない。

理屈じゃないのさ。これは。

 

火葬場に行き、彼女は箱に収まるサイズになってしまった。

信じられるかい?

70年以上生きた人が

昨日まで、一緒にいた人が

ただの白いかけらになって出て来るんだ。

 

それも、手に抱えられるサイズの。

 

箸で彼女だったものを桐製の直方体に入れている間の感情。

あれをなんと言えばいいのか、わからない。

わからない。けど、あえて言うのなら

 

痛い。その一言に尽きる。

 

生きている理由

死んでしまった夢を見た反動か

 

彼女が生きている夢をよくみる。

アニメやドラマでよくある、実は生きてましたパターンのやつだ。

そして目覚めてから、そんな事は起こらないと思い知る。

彼女はいなくなってしまった。

 

 

そして、ここから僕の転落人生が始まった。

学校に居場所はなかった。でも通い続けた。

彼女の最後の言葉。

「学校に行くんだよ。休まないで。」

僕は約束を守った。

 

思い出すのは、幸福な事ばかりだ。

 

花火を買ってきてくれた事。

 

饅頭を作ってくれた事。彼女が作るのはどれもデカくて

一個食べると腹がいっぱいになった。

 

怒られた事もあった。でも、殴られはしなかった。

 

夏休み、いつもどこかへ連れて行ってくれた事。

 

全部が幸せな宝物で。

 

同じ人生を歩んだ人間など存在しない。

だから、この世には親族とあまり仲良くない人がいる事を僕は知っている。

知っている。だけで、理解はできない。

逆に、わかる。なんて言われても、腹が立つだけでしょ。

 

だからこそ、君に言いたい。

僕が思うに、人間は常になんらかのバランスを保って存在している。

僕は家族に愛されていた。だからこそ、他人とうまくやれないのだろう。

 

逆に言えば、家族に疎まれている。という事は

まだ見た事のない他人と分かり合えると言う事。

 

そしてそれは、思い出の中にしか居場所がない僕なんかよりも

ずっといい事だと思う。

 

好かれたくない。と言えば嘘になる。

美女に囲まれたいし

万人に好かれたいのも

正直な感想だ。

でも、たとえ不可能だとしても問題ない。

 

彼女の残してくれたものはそれを補ってあまりある。

その思い出を握りしめていけば

 

僕は生きていける。