キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

身の丈にあった幸せを理解できれば、生きていける。

幽霊は死んでも後悔を捨てきれない人がなるものだと聞いた。

なら、NEETはある意味、生ける屍なのかもしれない。

 

 

 

行きたい場所。やりたい事。

思いつきもしない無欲な日々をすごしてきたのに

自宅警備の任に就いてから、まるでそれを取り返すかのごとく

頭の中に欲望を貯めるようになった。

度重なる激務で

精神を病んでしまったのか。

確かにNEETは精神を病む。

生きる。とはとてつもなく大きな仕事であるにもかかわらず、

その運営はボランティアによってなされている。

その仕事に給料も休日もない。

いつ訪れるともしれない侵入者の陰に油断できない日々を過ごす。

家庭防衛の要であるNEET。しかし、平和に飼いならされ、

危険を感知出来なくなった一部の国民からの風当たりは、冷たい。

敵に備えると言いながら、その敵はいつ襲ってくるのだ。

通常、NEETは、ライオンの群れのオスに同じ。狩りすらおこなわず

寝てばかりいる彼らは社会のお荷物ではないのか。

という意見は根強い。

 

しかし、NEET創設者は言った。

 

「働いたら負け。」

 

これはNEETが蔑まれる状況なら、国は平和であり、耐え忍ぶ事こそ重要なのだ。

という金言である。

 

 

 現実への帰還

知性と機知の効いたギャグを織り交ぜ、インテリジェンスとボキャブラリー

を兼ね備えた知識人であるのをアピりたかったけど、ただのアホである事を

さらけ出しただけ。

やっぱりバカは政治など語る資格はない。無職ならば特に。

 

 

ここに行けたら。という場所や、やりたい事ばかり増えていく。

テレビやネットの画面の向こうにある。絶対に触れられない世界に憧れるばかり。

 

 自分はいつまで、親の金にたかって生きていくんだ。一生。

親の金が尽きたらどうするつもりだ。なら働け。

でも、面接もうまくいかないし・・・・

求人誌を流し読みするのすらめんどくさくなってる。

最後は見えないところにうっちゃって、僕仕事探してます。アピールをしたいだけ。

どうせ応募なんてしないし雑誌古紙のゴミが溜まっていく。

ここから出たい。とか、出口はどこだ。とか、苦悩してます感を出していたけど

最近わかり始めた。

僕はここから出られない。

答えが見え始めても、不安は消えない。

一生無職で良いわけない。このままではいられないのに。

無職歴、早3年。ここまでダメな人間になってしまった自分へのあせり。

たまに面接にいくバイト先では、「そろそろ自立しなきゃね」とか

「この年齢だと、後はないね」とか、もっともらしい事を言われる。

なら、なぜ、雇わない。

 

たまにテレビで取り上げられる高齢ニートの特集。

自分の行く末を写されているみたい。

このままじゃいけない。でもここから出られない。

なんで僕は、僕なんだろう。答えのない議論を始める脳のどこかがうるさくて

朝の5時までは眠れない。今夜は台風のせいで

窓を閉め切っても雨の音が部屋に響く。

今夜から明け方にかけて接近か。僕の起きている間に通り過ぎたら面白い。

 

ここまで書いて、心配するなよ。と打ち込もうとしたけど

無職引きこもりの体調など、誰も興味はない。

 

そのまま死ねば良いのに。

生きているだけで価値がある人間などいない。

頑張っていないやつは人間ではない。

それが証拠に、何も頑張っていない僕に現金収入はない。

当たり前だ。僕はゴミだもの。

 

将来への不安で眠れなかろうと、夜中に涙こぼれようと

全て自己責任だ。

 

死にたい。と呟けば、何か変わるか。世間に許されたか。

結果は何も、変わらない。

 

この生活はいつか終わる。その時、僕は、世間で幸せと言われている場所に

行く事は出来ない。

それでも受け入れるしかない。

僕は通常の社会で生きていけない人間だ。常人の幸せは手に入らない。

現実を思うと、死んでしまいたくなるけれど、これからも生きていくのだから

仕方ない。

 

普通の幸せは手に入らない。でも、普通の人間には、この程度。と言えるもの

に、幸せを見出す。

都心で流行りの店に行けなくとも

特売のデカ太カップ麺と惣菜の牛タン。

ネットでロックのPVを見ているだけで、僕は幸せになれる。

今はいい時代だ。

昔はCDを血眼になって探した音源も、検索すれば、簡単に聞ける。

 

公園で親子連れが遊んでいる。

幸せそうに見えるけど、それは一部分だけで、彼らにも、苦悩があるのだろう。

証拠に、僕の隣家に住む子供をしつける母親は、もはや女とは思えない罵声を

浴びせている。

 

リア充爆発しろ。なカップルも数ヶ月後には分かれているかもしれない。

いつものフードコート。僕と隣に座った女子高生が友達の彼氏の愚痴をこぼしている。

デートなのに割り勘だとか、電話しても迷惑がられるとか、会ったら、◯ックスしか

ないとか。

 

僕には女に奢れる金もない。

ネットで検索するエロ動画なら金も掛からない。

絵に描いたもちしかないけど、実際の物を食ったらまずかった。

なんてことにもなりかなねない。

僕には、画面の向こうで弾むおっぱいでティンティンをしごいてるのが

ちょうどいい。

少なくとも、子供ができた。と言われて、責任とれないから中絶させるような

男よりは優れている。

 

ただ、何一つ願いが叶わないわけじゃない。

しばらく晴れの天気が続く。

お台場にガンダムでも見に行こか。

 

それくらいは許される。NEETはどこへだっていける。

シフトを組むとき、変わりがいないから、休み入れられないなんて

こともない。

 

僕はゴミだ。誰も僕を気にしない。だから

何者にも縛られない。

それだけは社会で生きる人々に手に入れられない幸福だ。