キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

立ち上がらなくても、生きていける。

増しってなんだろう。

 

 

( 名 )
ふえること。また,付け加えること。割り増し。 「五割-の値段」 「骨を折つたから-を呉れといふ/平凡 四迷
( 名 ・形動
多く仮名書きとする〕
他と比べて少しはまさっている・こと
(さま)。
「こんなものでもないより-だ」

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人は現実を直視できない時、〜よりは増しだ。と言い聞かせて自分を慰める。

増しという言葉でごまかして、状況は変わったか。

あいつよりは増し。こいつよりは増し。死ぬよりは増し。逆もまたしかり。

いい加減にしろ。良い物をくれよ。

 

立っている。なんとか

打ち砕かれた心の破片を集め用としたら、その上をロードローラーが引き潰して

行くような毎日。

 

今月の生活費を切りくずして作る電車代。チャージする額から往復を考えると

行けるところは限られている。

 

金があればどこまでも行けるのに。行った事のない遠くへ。

 働けばいいじゃん。でも働き出すと疲れて出かけるなんてとても無理。

休日は寝て過ごし、次の日朝早く起きて、電車に乗る。

早く帰りたい。帰って早く寝たい。他人との付き合いに神経をすり減らして

次の日はまた・・・・ここに居たくなかった。逃げ出したかった。

でも、それでなにが変わるのか。

カイジの班長じゃないけど

今日を変えられないやつに明日を変えられるはずないだろ。

 

出かけるくらいなら、1日寝て、体力を回復しなければ、明日もきつい。

働いて、ギリギリの金を稼いで、寝て、また働いて・・・

働くために生きてるみたい。

 

金があるときは暇がなく、暇があるときは金がない。

結局僕はどこへも行く事はできないのかもしれない。

 

電車なんて乗れる身分でないのはわかってる。

このままでいるわけにはいかない。口にしているだけ。現状を変えための行動なんて

起こさない。

 

逃げちゃダメだ。現実を見ろ。言い訳をさせてください。

現実を見据えて踏みとどまって、立ち向かった結果このザマなんです。

 

誰かに足元をすくわれる前に防波堤を作らなければ。

今更わかりきった説教を聞かされないように。

 

なぜ家にいられないんだろう。1年前なら用を足す以外部屋を出ない日を続けても

発狂したくなる。なんて事はなかったのに。

 

なぜだ。相棒のPS3に先立たれたから?

よりどころにしていたソシャゲをやめたから。

やめて何か変わったか。あまった時間で、キーボードを叩き

恥をさらけ出しているくらい。なにも変わらない。

いや、悪くなっている。

 

狂人になりかけている理由を理解した。

 

例えば家賃3万円のアパートで腐敗臭に耐えかねた

隣人からの苦情を受け鍵を開けた大家が、ハエやうじの餌になった

僕を発見する。

 

もしくは、真冬の朝の公園。

掃除のおばさんがトイレ掃除をしようとドアを開けたら、暖をとる事に失敗して

凍死したホームレスを発見する。

擦り切れた雑巾のような身なり。どこから来たのかも名前すらわからない。

誰も彼の事を知らない。誰も興味なんてない。

それが僕の人生。

 

最悪の結末とは言ったものの、下には下がある。

働かずに生きるために借金をしまくり、地下世界に送られて

過労死。なんて事もありうる。

 

これだけは嫌だ。という未来が現実味を帯びていく。

 

希望はない。喜びもない。不安と苛立ち。悲しみだけが増えていくなら、

ここで、一生を終わらせた方が増し。じゃないのか。

 

雨。明日も明後日も雨。とどめに台風がやってくるらしい。

最強の暴風雨を引き連れて。

これが虫の知らせ?

僕の人生。増しで終われる地点はここだと

誰かが伝えようとしているのでは。

 

それは神か。それとも、未来の超技術で過去に干渉できるようになった僕か。

ここがお前の終点だ。諦めろ。

 なぜこんな。あのときの選択。

終わらせなかった事を後悔しているのか。生きていれば良い事がある。と

いつかきっと、今ない希望にすがるのは、未来の失望を大きくするだけなのに。

 

街灯で見える範囲が限られている夜道は、自分の内側にいる暗い部分との会話を

増やす。両耳の間で、聞くに堪えない言葉のラリーが続く。

 そのとき、

不毛なやりとりに、侵入者が現れた。追い込みに入った選挙カー

「なんとかかんとか。なんとかかんとか」をよろしくお願いします。

これだけ一人の名前を連呼しているのに、一切覚えないのはなぜだ。

売名が目的ならむしろ逆効果じゃないのか・・・・

沿道からの暖かなご支援!ありがとうございます。そう言って、誰もいない路地に

手を振っている。

狭い道に入り、おばさんが車に雨水をかけられまいとどいた。

ありがとうございます。ご婦人から温かい声援をいただきました!

ありがとうございます!

 

そう言いながら走り去る車。

しゃべっているのは、女だけ。どうりで名前を覚えないはずだ。

車内に本人の姿が見当たらなかった。

 

暗くなりよりは増し

誰も応援していない。いや、彼らには、バカには見えない支持者が見えるのだ。

それとも、自分はこんなに応援されてますアピールか。

ポジティブな思い込みで己を奮い立たせているのかもしれない。

ならば、と雨に歌ってみる。

 

I'm singing in the rain!

 

Just singing in the rain

 

nanntoka~kanntok'a~singuzarein

amefurituraina~&%$""!"!$3penisukaii!!

 

でだし以外ほぼ歌えなかったけど、

口角を上げながら歌っていると目の前がうっすら明るくなるくらいには

愉快になってきた。

 

はたからみたら立派な狂人だけど、もはやどうでもいい。

ここで息絶えるよりはマシか。

この世の中で生きて行くためには、多少狂っているぐらいがちょうどいい。

 

地べたを這って、生きていく。

毎日起こる事の全てが最後のとどめのような気がする。

ただ、それはジャブ程度で、油断すると、でかい一撃を入れられる。

常に身構えていないと。いつ来るんだ。という不安に参っている。

 

あと一撃貰えば、僕が立っていられないだろう。

それでもいい。

僕がゴキブリだ。たとえ足を折られたとしても、地面に這いつくばって生きていく。

それが僕の、一番マシな選択だから。