キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

なんのために生きるのかわからない。死にたい。でもあなたにしか人生の価値はわからない。

自分の存在価値がわからない。生きている理由もわからない。

 

なぜこんなに不安なのかもわからない。何がこんなに苦痛なのかもわからない

 

この息苦しい義務感はどこからくるんだ。辛い。きつい。それが一日続くだけで

 

ありえない苦痛と、そんな馬鹿な。という出来事ばかりの繰り返し。

 

生きていてよかった!と笑うことができる理想は遠のいてくばかり。

近づいている気すらしない。なぜだ。

 

歩いているのは確か。でも、進んでいる向きは正しいのか?

 

前に進んでいるのか。足踏みしているのかすらわからない。

そんな人生の価値を、なんのために生きるのかを、誰か教えてくれ。

 人間らしく生きたい。

 

母親に手を引かれた子供が、楽しそうにアンパンマンのマーチを歌っている。

 

釣られて鼻歌を歌い出す、アラサー無職。

 

どうした?いつもなら留守電に入った自分の声を聞くだけでも、そのキモさにドン引き

しているのに。

 

嫌に上機嫌だな。

 

ここは、いつもなら閉店するんじゃないか。と疑わしくなる銀行のATM。

 

 

タッチパネルを押すたびに「はれぇ?」「ほえぇ?」と

 

不思議ちゃんのような声を出すババァと操作を教える行員のタイマンが

 

流れを悪くする列の最後尾でなぜ今日に限って?とイラつく。そこまで考えて

ニュータイプとして直感が答えを出した。

 

今日は辛い労働の対価が支払われる日、給料日だ。考える事はみんな同じだね。

 

金が入った。これで好きな事が出来る。心が上向いたのはほんの一瞬。

 

この社会は、「勘違いするなよ。お前は生きてるんじゃない」

 

「生きさせてもらってる」んだ。

 

と言わんばかりに、金をむしり取っていく。

 

やるべき事が山のようにあって、やりたい事なんて二の次、三の次。

 

やりたい事をやれ。とエールをくれる人の気持ちはありがたい。

 

でも、やりたい事をやる前に死んでしまったら元も子もない。

 

生きるためにやるべき事を片付けるのに精一杯。

 

「やりたい事」なんてできる余裕はない。それが続くうちにまた

 

「自分は何のために生きてるんだ。」という疑問が、頭をめぐり始める。

 

答えなんて求めてもしょうがない。

 

この心のもやもやをとる方法はひとつ。肉を食べる事だ。

 

月一の贅沢。立川マシマシのマシライス。これは素晴らしい。ふざけた名前だが

 

マシライスを全人類が食べれば、戦争はなくなる。そう確信できるぐらいうまい。

 

肉は素晴らしい。肉は正義だ。うすら笑が口から漏れた。

 

満ち足りた心のまま、駅ビルで漫画を買う。おいおい。

 

 

漫画なんて、レンタルやスマホでも見れるだろと突っ込まれてもしょうがない。

 

選択肢が増えると、手元に残しておきたい物は少ない事がわかる。

 

手提げの袋にいれてもらった、「リアル」三巻を大事に持ちながら

 

電車に乗り込む帰り道。子供の頃のワクワクした気持ちを思い出す。

 

この作品には、3人の主人公がいる。その中の、野宮という男が、僕には他人には思えない。

 

彼の言葉は、まるで自分の心を代弁されているようで、ページをめくるたび、

 

「野宮ァ」と叫びたい。

 

いや、13話には、「野宮ァアアアアアアアアアアア」と叫ばずにいられなかった。

 

心が震えた。近所の人から苦情が来た。全俺が泣いた。

 

 

そんなしょうもないギャグを考えたとき、頭の中で声がした。

 

お前は、30手前の職歴なしフリーターだろ。

 

そんな無駄遣いをする金がどこにある?こんな事していられる身分じゃないだろ。

 

家に金を入れもしないで、何してる?

 

そこまでなじられて、いつかの貧困層を取り上げたニュース番組を思い出した。

 

どこかの生活保護を受けている家庭で、犬を飼っている。

 

ネット環境があるなら、望まずとも入ってくる世間の声。

 

「こんな貧乏な日本人はいない」とか「貧困なら、こんな贅沢するわけがない」とか

 

正直、やらせかどうかは、どっちでもいいけど

 

彼らのセリフに「欲しがりません勝つまでは」の時代を思い返す。

 

「働いたら負け」のニートといい、一体みんな何と戦ってるんだ・・・

 

この国では、この瞬間も「贅沢は敵だ」という言葉の弾丸が

 

機銃掃射のように飛び交っている。

 

人はただ生きているだけではダメだ。

 

人間らしく生きる事ができなければ、辛い現実を生きる理由を失ってしまう。

 

ただ、人間らしく生きたい。そんな願いすら、叶わないなんて。

 

 生きがいを見つけるのが、人生

 嫌な事は数あれど、良いことはない。

 

どうせどうにもならない。そんな現実が

 

心をしらけさせ、抑圧された感情はやがて弱者への暴言に形を変える。

 

 

逃げようとしても、逃げられない苦痛は日に日に増していき、辛い人生を耐える価値を見失う。

 

 愛と勇気にすら愛想をつかされた、救いのない現実に押しつぶされそうになる。

 

 そんな時は、 アンパンマンのマーチをつぶやいてごらん。

 

  今日も生きてしまったな。なぜ踏みとどまっているのか。自分を呪う日々。

 

それでも、生きる事に価値を見いだせないまま終わるのは嫌だ。

 

ありえない事ばかり起こる毎日。なら、辿り着けない。と絶望した望みに

 

追いつく日も夢じゃない。

 

生きた実感のない。いくら死にたくても、「生きる」という選択をした限り

 

  生きがいを探し続けなければならない

 

なぜなら、あなたの人生の価値はあなたしかわからないから。

 

頑張ってるよ。君は、今。