キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

みんなが辛いのに我慢しろっておかしくない?みんな〜だからこの社会は息苦しい。

 

「みんな辛いから我慢しろ」 言った側としては励ましや慰めのつもりだろうけど

 

言われた側には崖の淵にしがみついた手を踏みつけられているのと同じだ。

 

 

「みんな〜だから」大衆は文句言わないし、問題ないって人は勘違いしてる。

 

この社会がおかしいのは「みんな」分かってる。でも、たとえ声を上げたところで、

 

ただ喉が痛くなって疲れるだけ。物事は悪くなる一方だけど、原因はわからないし

 

改善する案もないから、地獄の責め苦から逃れるのは不可能。

 

前へならえを刷り込まれた人々は閻魔に舌を抜かれたような顔で

 

 みんなしんどい満員電車に乗り込み、みんな我慢してる激務をこなし、みんなが辛い

 

社会の息苦しさに耐えて生きていくしかなかった。

 

駄々をこねる子供の鳴き声みたいな心臓の鼓動を心の押し入れに閉じ込めて

 

何かおかしいと叫ぶくそがきを忘れかけた頃、起こったのが

 

  日大タックル問題

 

最初は「肘でもええから目に入れろ」の再来?くらいのイメージしかなかった。

 

 でも、マスコミやネットの話題まで総なめにする日大アメフト部の闇の深さに

 

初見の冷笑は吹き飛んでいく。

 

干からびた梅干しに似ている監督、イノセントな筋肉チルドレンの体たらくはみなさん

ご承知の通りだろうから割愛。

 

 

美容師との世間話に困るほど人の噂に疎い僕でも、鉄砲玉を命じられた彼の会見は

 

優秀な大人のバックアップありきといえど、当人の置かれた状況に同情しかできない。

 

彼は大好きだったアメリカンフットボールを引退する。

 

それが悲しかった。

 

一歩間違えれば被害者に障害を残しかねない危険な行為。それでも

 

大好きな事を、例えば、怪我で体が動かない。とか、才能がないのがわかった

 

とか、それこそ自己責任の範囲なら言葉も飲み込めるだろうけど、

 

上司の理不尽な命令が理由というのは、あまりに・・・・・やめよう。

 

知人でもない、一視聴者が彼の選択に口を出す権利はない。

 

 

今回の問題は日大だけが悪いのか。違う。

 

 彼の、わらにもすがる思いで振り絞った声を「みんなやってるから我慢しろ」

 

と放置した社会が黒幕だ。

 みんな辛いからなんだって?

 

あれは社会人の義務から逃げ出したニート初心者だったころ

 

 

家に金を入れずに囲む食卓のケツの座りの悪さを受け流すメンタルをもてずに

 

「もう一度やり直そう」と受けたスーパーのバイト。

 

面接の時点でお察しだった。

 

「その年で働いてないとか、親に申し訳ないと思わないの?」とか

 

「携帯持ってるの?」という問いに「はい。」と答えると

 

「通話料誰が払ってんの?働いてもいないのに」とか

 

「タバコ吸うの?」

 

「すいません」

 

「ですよねーwwww働いてませんもんねーwwww」

 

 

これは「バイトの面接」じゃないのか、聞くべきはシフトや交通費だろ。

 

そもそも、働いてないから面接に来たんだろ?バカなのか。あんた。

 

腹わたがフォッサマグマしながらも、逃げ出して負け犬に逆戻りするのは嫌だという

 

不燃ゴミにもならないプライドを守るため、ヘラヘラ笑いながら

 

「すいまっせぇーんwww」と答えた。

 

数日後受け取った合格通知。今思えばここで逃げ出せば良かった。

 

今度こそ立ち直れる。くそみたいな希望を持った無職を待っていたのは、これまたくそ

 

みたいないじめの日々だった。

 

いじめられた学生に「逃げろ」とか、「学校行くな」というけど、社会って

 

学校と対して変わらないよね。しかも、成人したら無条件で存在を肯定される

 

学生フィルターも消滅して、残るのは生きづらさなのに。

 

 

フルーツポンチ村上のようなキャラのクソ野郎に、毎日クソみたいな小言を

 

聞かされ続ける地獄。「嫌いなやつとは距離を取れ」なんて言われても、閉鎖空間で

 

つきっきりの状態じゃ、逃げる場所なんてどこにもないのよ。

 

金を貯めて何かしようとか、ここを乗り切れば楽になるとか続ける理由を唱えても

 

その場しのぎにすらならないし、行きたくない。嫌だ。っていうガキみたいな

 

言葉しか頭に浮かばない。どうしようもなくて相談した人のアドバイス

 

「みんな辛いんだから我慢しなさい」

 

それで何が変わるんだよ。いや、言い訳するな。我慢、我慢、我慢、我慢・・・・・

 

気がつくと耐えろ。と握った拳が、奴の蚊の泣くような声で腐った女のような嫌味を

 

 

垂れる日光を浴びずに育ったカマキリみたいな血の気のない顔面に吸い込まれて

いった。

 

 二、三発食らわせたところで、致命傷にはならず、止めに入った他の社員に

 

「おまえは遊びにきてるんじゃなくて、働きにきてるんだぞ。」

 

「みんな辛くても(以下略)」うるせぇ。

 

言わないでいいよ。悪いのは僕だ。わかってる。

 

ただ、奴の頭をそのまま肉斬りスライサーに押し付なかっただけ良かったと思う。

 

俺、偉い。ニートよ。これが自己肯定感だ。その場は帰れ。と命じられた。

 

帰り道で思うのは、悔しいやら、悲しいやら、不安やら、これを言葉にするには

 

どうしたらいいのだろう?世界が自分と、他人で分断されてしまった感覚。

 

すれ違うあらゆる景色が、「お前は生きるべきじゃない」と囁いているような感じ。

 

コートかけられて出てきた犯人の気分。わからない。伝わるとも思わないし

 

伝わったところで、何が変わるわけでもない。ただ、わかってほしい。

 

あの時ほど、救いが欲しかったことはないこと。

 

そして、「みんなが辛い」社会に適応できないクズに差し伸べられる手などない現実を。

 

 

 

ネットの中は過剰に生暖かい寛容が溢れているけど、本当に困った時には、誰一人助けてくれないじゃないか。

 

イライラする。「逃げる」か「従うか」かの、消極的な二択しかない現実に。

 

怒りを飲み込むな。不満を口にしろ。自分に嘘をつくな。

 

 とっくの昔にご存知なんだろ?使い古されたテンプレのごまかしは、もう通用しない。

 

君が感じているモヤモヤや不満は飲み込んだり、忘れたりするものじゃない。

 

声に出して、訴える物だ。それは人間の正当な権利。

 

 

今日も死にたい。と呟く君、逆になぜ生きてるんだい?

 

死ぬのが怖い?国は安楽死施設早く作れだって?わかる。でもね。

 

やましい事を国ぐるみで隠すような奴らに

 

 

「この社会のシステムは金持以外は地獄を見るように作られています」

 

なんて、認めるような代物をわざわざ作るとでも?

 

死にたいなら、死にたいほど辛い現実を突きつける世間に怒れ、声をあげろ。

 

今を生きている君に必要なのは、永遠に来ない世界の終わりを望むことではなく

 

みんながおかしいと感じている理不尽に中指を立てる勇気だ。