キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

チェスター ベニントンにただ一言。お疲れ様でした。

正直、ニワカである自分が、この言葉を口にしていいか?すらわからない。

知ったのはつい数年前、影響されて、バンドを始めた。とか、そんな美談があるわけでもなく

会う事が出来るわけもない、よく知らない大スターに感情移入して

勝手に自分の中に理想像を作り、

神格化しまうのは危険だとわかっているけど、

あなたがぼくの思っている人でなかった。としても、落胆するのは

あまりにわがままが過ぎるので、それは今、横に置いておいて。

チェスター ベニントン氏のご冥福をお祈りします。

 

僕はきっと、あなたを勝手に自分の代表にしてしまったのでしょう。

僕らの心を理解してくれる数少ない味方だと思い込んで。

そんな自分勝手な期待が、どれだけの重圧だったか?なんて、無責任な僕に

理解出来るはずがないのに。

あなたはあなたの心を歌っていたでしょう。でも、僕らは自分達が抱えていた

言葉にできない鬱屈した気持ちをあなたが代弁してくれているような気がして

その声が必殺技と思えるほどの声量で叫ぶあなたの姿が

確かにヒーローに見えたのです。

 

あなたの歌声は僕らを救ってくれましたよ。

あなたが、なぜ自らの命を絶つという選択を取ったのか。

みんな、なぜ?と思っています。でも、僕はあなたが旅立ってしまった事に

なせか納得しています。

 

嘆きや、悲しみの言葉は僕なんかよりずっと思い入れのある人たちの物

でしょう。

でも、せめて言葉をかけさせてもらえる。と言うのならば。

 

本当に、本当に、お疲れ様でした。

 

 唯一無二の存在。

ぼくが彼ら、リンキンパークを知ったのはほんの数年前の事だ。

友達がなに?お前、リンキンパークも知らないの?ダッセー

となじりながら知識をひけらかしてくる姿をウゼーと思いつつもそのあまりの

熱弁に、美容室の次に嫌厭していたリア充御用達ショップ、HMV

そのジャケットのあまりのかっこよさに気がついたら、購入していたのが

この

メテオラ (通常盤)

メテオラ (通常盤)

 

 であった。

 

「なんだこれは?なんなのだ?こいつらは」

ただ、かっこいい。それ以外の感想は出てこなかった。

ぼくは中学生レベルの英語すらわからないから

なにを歌っているのか意味不明だったけど

とにかく言葉ではとても言い表せない感動がそこには詰まっていた。

 

それはこのご時世に文明の利器を知らず

わざわざ川へ洗濯に行くおばあさんの頭に洗濯機が落ちてきたほどの衝撃だった。

それと同時に行ったこともないのに、なぜか懐かしくなる

古き良き時代の田園風景を見ているような感覚を覚えた。

 

今は、ネットで簡単に和訳を見る事が出来る。

(ただ、洋楽、特にリンキンパークの歌詞は詩的で難解な部分が多く、

人によって解釈が異なる。それも良さ。なのだが。)

歌っている内容は、とても悲観的なのに、美しく

優しさを感じさせるのが、チェスター・ベニントンの歌声だった。

 

衝撃波を発生させてるのか?と疑いたくなる程大声のシャウトが

肺活量どうなっての?と疑いたくなるくらいの長さで続く。

しかし、それが耳障りではなく、どこか、心地よくなるような美しさ。

そして、現在の人気からは考えられないインディーズ時代の苦労。

彼の苦心と苦悩に満ちた生い立ちがリンキンパークの独特の世界観を作りだしている。と言っても過言ではないはずだ。

 

世界で知らない者などいないリンキンパーク

リーダー、マイク・シノダは日系の3世だし

DJのジョー・ハーンはガンダムが大好きで

 

Somewhere I Belong

 

という曲のPVでガンダムのプラモデルを登場させるほどであり、

東日本大震災の際には、親交のあるBzと共に、チァリティーライブを開いたり、

決して日本と縁遠い存在ではないはずなのに

イマイチ知名度がないような気がするのはなぜだろう?

特に、チェスター自殺のニュースはテレビではぼくが知る限り、全く耳にしない。

もしかしたら、音楽番組にでた時のトラブルが未だに尾を引いているのかもしれない。

 

まさか、とは思うけど、ぼくの書いたクソ記事で、リンキンパークに興味を

持ってくれた人が万が一いるとして、おすすめは?と聞かれたら、

ぼくはこの


Faint (Official Video) - Linkin Park

 を推したい。しかし、これはあくまで、「強いてあげるなら」

である。このほかにも、チェスターが映画、キルビルのファンだったため、

その冒頭で使用された、アニメの制作会社がPVを担当した

 

Breaking The Habit

何かを失う苦しさを歌った(という解釈もある)

 

numb

 

退廃的なPVがかっこいい

 

From The Inside

 

など、正直、全部素晴らしいのだが、あまり動画を貼り付けても、

ぼくの底スペPCでは、重すぎて表示できなくなってしまい、

編集ができなくなってしまうので、

もし興味があるのなら、関連動画を見て行ってほしい。

 

メテオラが凄すぎた。

リンキンと言ったら普通、Hybrid Theory

だろ。JKという人の声はもちろんだ。

そういう真のリンキンパークファンの声を恐れず、あえてメテオラを推したのは

正直にぼくが一番思い入れのあるアルバムを語った方がいい。と判断したから。

それもあってか、その後のアルバムは、いまひとつというか・・・・

もちろんその後のアルバム、

Minutes to Midnight収録の

GIven Upは大好きだし、bleed it outもHands Held High も最高だった。

 

A Thousand Suns

は曲の収録時間が、これだけ?と思いつつも、

壮大なストーリーがあるようなその世界観に感動した。

特に、無学なぼくがロバート・オッペンハイマー氏を知ったのも、このアルバムから

だった。 

The Messengeでも、やはりチェスターは優しかった。

 

ただ、ここから、あまりにメッセージ性が多い曲が増えた。

Living Things

では、記憶に残っているのが、 Castle of glassしか残っていない。

もちろんこれは、主観が過ぎるし、アルバムの完成度は素晴らしいのだが、

ぼくはメテオラ、という頂点を常に意識しすぎていて、勝手にハードルを

上げすぎた。

それは、海外でも、同じだったらしい。

もっと、凄まじい衝撃を、あの感動を、きっと、リンキンパークなら、チェスターなら

そんな傲慢な期待が、彼らを苦しめていたのかもしれない。

 

The Hunting Party

 正直、なんか叫んでればいいんだろ。みたいな投げやりな印象を受けてしまった。

このアルバムをぼくはあまり聞いていない。

ぼくのリンキンパークは、ここで止まってしまった。

 

しかし、これは、あまりにも、ひどすぎると今更後悔している。

最新作にして、チェスターベニントンのいるリンキンパーク最後のアルバム。

One More Light

この表題作、one more  lightの中で、チェスターは、

「ずっとあのままが良かった。」と歌っている。この時は、別の話かと思ったけど

これは、全盛期の彼らの事を言っているのかもしれない。

いつか言ったかもしれない。人間の不幸の一つは、幸福な過去がある事だと。

大スターの痛みと比べらるほどのものでないし

引き合いに出すのはどうかと思うが、ぼくにも同じような経験がある。

 

「お前つまんなくなったな」

 

「昔はもっと面白かった」

 

「おまえ本当にセンベイ?」

 

そう言い残して、周りにいた人たちが離れていく。

 

大切な、かけがえのない仲間だ。と思っていた人達が。

 

ぼくのようなゴミ虫ですら、気が狂うほどの悲しみ。

雲の上にいる大スターが受けた苦痛は計り知れない。

 

かけがえのない星

やはり、one more  lightの中で

「空には百万も星があって

チカチカ輝いている。その中の一つが消えたところで、誰が気にするものか」

と歌ってる。

チェスター。残念ながら、ぼくがいるこのゴミためからは、百万個も星は見えないんです。

東京。とお情けで名がついているだけのど田舎のくせに、空が汚れて見えないこの場所からは。

そのくせ、暗闇を怖がる気持ちだけは人一倍で、安っぽい電燈

ばかりあちこちにつけて、

その無機筆な光には、あまりに心がないくせに、目がくらむくらい

強烈で、まるで、皮膚を焼かれているようで。

 

あなたには知るよしもないでしょう。

この社会のどこからも、救いの手が差し伸べられず、あたりをいくら見渡しても

「それはお前が悪いよ」と言われてしまう。

そんな事、自分が一番わかっているから、悲しくて、悔しくて、惨めで、

目の前を涙でにじませながら、人工的な光に照らされるのが怖くて、

顔を上げるのが嫌で、ずっと下を向きながら歩く帰り道。

 

いつのまにか電燈はなくなり、人気のない闇の中で

 

「まったく、ひど目にあっちまったな。ふざけんなよ。って話だぜ!」

 

 

まるで旧来の友達に語りかけられた気がして、見上げた夜空には

 

一見、か細く、頼りなく、でも暖かく、嫌味なく、

 

 

どんな星よりも優しく照らしてくれる。

 

チェスター・ベニントン

 

あなたはそういう星だったんですよ