キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

チャーリィ、君は僕だよ。

お題「読書感想文」

アルジャーノンに花束を」有名な小説だけど、無知なぼくは去年

ドラマ化されるまで知らなかった。

 

読んでみたのは気まぐれだったけど、今までみてきたどんなフィクションより

心に残った。それはこの物語の主人公、チャーリィ・ゴードンがまるで他人ではなく、

ぼく自身のことが書いてあるようだったからだ。

あらすじは、知的障害があるけれど、大きな体に小さな子供の心をもった優しい

青年チャーリィ・ゴードン

彼の夢は賢くなってみんなと同じになること。彼はある日、通っている

知的障害専門の学校の担任アリス先生に開発されたばかりの

脳手術を受けることを勧められる。それは受けた者の知能を向上させるもので、

先にこの手術を受けたハツカネズミの「アルジャーノン」は、驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリイと難関の迷路実験で対決し、彼に勝ってしまう。

彼は手術を受けることを快諾し、この手術の人間に対する臨床試験

被験者第1号に選ばれたのだった。

 

手術は成功し、最初は6才児程度の知能しかなかったチャーリィだったが、

徐々に変化が現れ、やがて天才と呼ベるレベルにまで上昇していく、

だが、頭が良くなるにつれ、これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされ、

いじめられていたこと、自分の知能の低さが理由で母親に捨てられたことなど、

知りたくもない事実を理解するようになる。そしてこの手術にはある欠陥が

あったのだ。・・・・

 

ぼくはチャーリィみたいに頭が良くなったわけじゃないかけど、

彼の辿った道はどうしても他人とは思えない。

それはぼくにも似たような経験があるからで・・・

 

昔はよかったって言いたくはないけど、僕にもチャーリィと同じ時期があった。

中学二年ぐらいかな。その時のぼくは、バカだった(まぁ今でもだけど)

はたから見たら調子に乗っていただけだろうけど

自分がばかっだってことを受け入れて、バカみたいな冗談をいうのが好きだった。

他人を疑うことを知らず、周囲に笑顔をふりまき、誰にでも親切であろうとした。

ぼくは勉強も運動もできなかったけど、

自分が面白いと思えることをいって、それでみんなが笑ってくれるのがすきだった。

そういう時は考えるんじゃなくて、言葉が降りて来るんだ。それがたまらなく

楽しかった。

正確にはみんなを笑わせられるぼくがすきだったのかもね。

まぁそれから、いろいろあってある人から

実はお前は他人を笑わせてるんじゃなくて、

笑われてるんだよ。嘲笑されてんだよ。

嫌われてたよ。っていうよくある真実を知って、だんだん目立たないように心がける

ようになって、友達もどんどん離れていって、

根拠もないのに周りを見下して、そして独りになってた。

他人がどう思っていたかはしらない。

だが確実なのはあの時の僕は他人を心から愛していた。バカな自分が好きだった。

戻れるなら、あの時の僕にもどりたい。懐かしむってわけじゃないよ。

僕はとても大事な、人が生きて行くために

絶対になくしてはいけないものをなくしてしまった。

それを取り戻す方法を探してるんだ。どうしても必要だから。