キリギリスはなぜ死んだ?

社会に、いらね。と言われた奴の最後のあがき

人生はやり直せないからおもしろい

人生はゲームじゃないから素晴らしい

人生はセーブできないから美しい

人生はやり直せないからおもしろい

思考実験

セーブしたところからやり直せるとして

思った通りの素晴らしい未来でなかったらどうする

また後戻りするのか

その後戻り、うまくいくと思うのか

違う道を歩けば、良い結果になるとおもうか

その違う道をいけるのは今じゃないか

時間は逆には進まない

なにより、同じところからやり直せる人生は

ネタバレしたゲームと同じ、結末をたどるだけなんて

チートを使うよりつまらない

ちっぽけなものを握りしめて

人生なぞ、さして、どうせ

矮小化することで、守ろうとする

何を

誇り、自尊心、自己肯定感、違う

もっとちっぽけなもの、ほんとうにどうしようもないもの

くだらないもの、でも、人間であるために必要なもの

今、ここにいる事実を肯定するために

その肯定をこれからも保つために必要なもの

ここにいることを否定しないために必要なもの

 

だから、こんなものだと思う、思い込む

誰にも期待しない、他人はもちろん、自分にも

未来に希望を持たない、失望しないように

墜落する人生の衝撃に備える

前屈みになるように俯いてこんなものだと思えば

最悪の結末も、ダメージは最小限

あれこれ考えるな

 

やめろ

 

この言葉を唱えろ

 

これでよかったんだ

 

これでよかった

 

これ以外なかった

 

 

 

言葉で頭を埋め尽くせ、隙間なく舗装しろ

 

溢れれば滲み出てくる

 

漏れてくるぞ

 

そら

 

 

ああすればよかった

 

こうすればよかった

 

なぜあんなことを

 

水漏れは次第に洪水に

 

未来をみれるか

 

それをすれば、あれをすれば

 

今よりましだったか

 

誰かに聞いたのか

 

いいか、これでよかったんだ

 

疑うな

 

これ以上みじめになりたいか

 

 

 

これだけ言っても溢れてくるものは止められない

ああすればよかった、こうすればよっかたと思うのは

あの選択をすれば良い方向に向かったという希望

希望があることは、むしろ素晴らしい

なんの後悔もない人生は一見、美しいけれど

後悔のない人生=振り返る思い出が一切ないのは、わびしい

後悔するほどいい人生だったと思えばいい

戻れないと思うと泣き出す

悲しいと思うほど美しいんだと思え

悔しいと思うほど本気だったと思え

避けて通れない苦しみなら

意味を見つけるしかない

価値のある苦しみだった

生きる上で避けられない苦しみだった

進む上で仕方のない犠牲だった

この上ないほどに

その苦しみを握りしめておかなければ

その場に立っていられないほどに

一生立ち上がることなどできないほどに

これでよかったんだ

振り返るな

他人を呪うな

呪うだけつまらない

 

歩いてきたことを誇れ

歩いてきたこと自体をほこれ

成果を求めるな、栄華を極めた人から見れば

ありえないことだとしても

道ができたかなんて気にするんじゃあない

道なんてたやすく作れるものじゃない

大概は獣道、歩いたそばから消えていく

道ができたか、なんて確認している間が勿体無い

後ろなんて見るな、進めよ

無意味だと思うな何もできなくなる

価値があったんだ、絶対に

いいか、よく聞くんだ、頭ではなく、芯で理解しろ

「人生は一方通行だから素晴らしい」んだ

「後悔できるほど素晴らしい人生だったんだ」

信じろ、疑うな、信じることで現実になる

一種の信仰のようなもので

信仰とはなんだろう

定義することはとても難しい

大いに偏った意見かもしれないけど

信じたいものという意味だとしよう

信じたいもの、もっといえば、すがりたい言葉は

 

誰だって立ち直れる、手を差し伸べてくれる人がいるのなら

そんなことがあったか

感謝、まさかそんなことを言う日がくるとは

他人に助けられたことなどあったのか

あったのだ、気に留めなかっただけで

これまでの人生のところどころで

気にかけてくれる人がいた

だから、ギリギリのところで、狂人にならずにすんだのだ

ほんとうに些細なことだ

その人たちにとっては、取るにならないこと

でも、その些細なことですら、心を震わせて立ち上がることができる

それが人間という生き物なんだ

きっと、誰だって同じで、誰だってくじけるときがある

誰だってどうしようもないときがある

誰だってきっと死にたくなるようなときがある

特別なことじゃない

誰だって、後悔することことがある

些細なこと、よく考えてみれば

ここにいるのは、地球全体でみれば

60億人以上いるうちのひとり

星レベルでみれば、点みたいなもの

そんな人間を住まわせている地球自体に感動する

さらにその地球すら、この銀河系の中で言えば

点みたいなもの

その銀河すらもさらに大きな銀河の中の一つでしかない

そう考えたら、宇宙人がいてもおかしくない

宇宙人はいるけど、宇宙が広すぎて出会えない

いないんじゃない、出会っていないんだ

そう、分かり合える人すらも、まだ出会っていないだけ

宇宙の広さに比べたら、随分確率が高いとは思はないか

どれだけかかるんだろう

一生かかったっていいじゃないか

大したことのない人生だ

 

陽が昇れば沈む

花は咲けば散る

人は生まれたら死ぬ

それだけのこと

 

それだけのことだからこそ、こんなにも愛おしいんだ